2022年 真冬だより

真冬のミンスクからレポートです。昨年のこの時期(年末)はクリスマスや新年に雪が積もってくれるかヤキモキするほど暖かでしたが、今冬は寒波が特に厳しくて11月半ばから見渡す限りの雪景色がずっと続いています。除雪してもしてもすぐに深雪となり、そのうえを歩くのには大変なエネルギーがいります。マイナス10度以下の気温が当たり前で、風が強い日に雹が顔にあたり痛いことも。

雪降りしきる町
雪積もる町

それでも、この白銀の世界でしかできない雪遊びに喜ぶ子供達の姿が多々見られます。様々なボードを使ったソリ滑りや雪だるま作りのほか、透き通るようにきれいな氷柱を探してきたり、仰向けに寝そべった雪上で真横に広げた両手をかくようにして天使の羽を彫ったりする伝統的な遊びで楽しんでいます。

室内は熱湯管が張り巡らされていて半袖で過ごせるぐらい暖まっているので、外から戻ってくるとあまりの気温差にしばらくボーッとなります。体が温まるスープ料理等がより美味しく感じ、食後はすぐにウトウトしてしまいます。部屋の温かさは常に一定で保たれているので冬の起床は楽です。寒くて布団から出られないといった感覚はありません。

雪だるま作りも上手
ソリ遊びは大人気
天使の羽を雪上に型どる

今回は、チェルノブイリと福島で起きた原発事故について小・中学生の生徒達と話し合ってみました。前回の2022年11月だよりでも紹介したジャパン・クラブに通う子供達のうち11~14歳の四人が協力してくれました(各両親同意のもと)。参加者は6年生のクシューシャさん(11)とニコルさん(12)、7年生のイヴァン君(13)、8年生のリーザさん(14)です。今までこのテーマでインタビューした中ではもっとも若い年齢層となります。

(写真左から)ニコルさん、リーザさん、クシューシャさん、イヴァン君が話し合いに参加してくれました(クシューシャさんのデジタル絵画作品と記念撮影)

以下ディスカッション内容:


-(田中)「みんなはチェルノブイリ原子力発電所事故のことは知ってるかな?」

-(全員)「うん、知ってるよ。」

-(ニコル、リーザ)「でも、事故が起きた日付は正確に覚えていない。」

-(クシューシャ)「1986年だよね。」

-(イヴァン)「そう、その年の4月26日に。」

-(田中)「どこでどのように知ったの?」

-(イヴァン)「学校で、5年生の時に<生活安全基礎>の授業科目で。それから、両親も話していた。」

-(ニコル)「わたしは家で。家族からこのことについてきいたのを覚えている。」

-(リーザ)「音楽コンクールに参加した時、その会場で事故の黙祷や経緯説明が行われて。その後、学校でも同様のことを教わったけど、家でこの話が出ることは特になかったかな。」

-(クシューシャ)「わたしはまず家族からきいて。その後、4年生か5年生の時に<生活安全基礎>の授業で。」

-(田中)「2011年に日本の福島で起きた原発事故については知ってる?」

-(クシューシャ、ニコル、リーザ)「うーん、よく知らない。」

-(イヴァン)「僕は、そこで大きな地震と津波があったとはきいてたけど。」

-(田中)「日本の福島でも復興に向けて頑張っている人達に何かメッセージはあるかな?」

-(イヴァン)「放射線の被害を受けてしまった方々の一日も早いご回復と無事を祈ります。そして、事故が二度と起こらないことを願いたいです。」

-(リーザ)「わたしも、今後はこのような悲劇がないように願うばかりです。」

-(クシューシャ、ニコル)「わたし達も同じ気持ちです。」


チェルノブイリであった悲劇は四人とも知っていましたが、福島で起こったことについてはこの時はじめてきいたような印象でした。事故発生の直前に生まれた世代(~2011年)だからでしょうか。

時には真剣に学び
時には楽しく談笑

つづいて、協力してくれた子達が憧れを抱く日本(文化)について語ってもらいました。先ほどの真剣な表情から一転、たちまちリラックスした笑顔へと変わり口調も滑らかになります。

以下インタビュー内容:


-(田中)「みんなはここで日本語・文化を学び始めたばかりだけど、そのきっかけは?」

-(クシューシャ)「わたしが日本(語)について知ったのは、アニメ<NARUTO>を見た時。最近では(浮世絵)版画の描写に魅了されてる!」

-(リーザ)「4~5年生の時に知り合った友達がきっかけよ。彼女はいつもノートに日本語の言葉を書き留めていて、簡単なフレーズをわたしにも教えてくれたりした。一緒に独学していた頃もあったけど、しばらくの間やめていて。でもまた一から勉強したいと思ったの。やはり、いろいろなアニメ作品が好きなので。」

ディスカッション前に文化イベント「浮世絵の会」に出演するクシューシャさん(写真左)(提供写真)

-(ニコル)「わたしは幼いころ日本に住んでいたことがあって。こっちでは日本語で話す機会がなかったけど、またあの頃のようにしゃべれるようになりたくて勉強してる。日本といえば美味しい食が一番に思い浮ぶなぁ、特に寿司が大好き!」

-(田中)「みんなの将来の夢は?(日本語を使う使わないに関係なく)」

-(イヴァン)「この言語を習うこと自体とても興味深いし、チャンスがあれば日本に行ってみたいなぁ。」

-(クシューシャ)「ここでの教育課程修了後、日本に住んでプログラマーかITデザイナーとして働きたい!」

-(リーザ)「今はまだ具体的な目標があるわけではないけど、日本で(日本語を使って)自己実現してみたいし、全ての可能性を探りたいの。」

-(ニコル)「わたしは日本でファッションモデルになりたい。そのために日本語を活かしてみせる!」

-(田中)「日本を訪れた時に体験してみたいことは何?」

-(リーザ)「観光名所を巡って、食事を楽しんで、たくさん面白いことに出会いたい!」

-(クシューシャ)「わたしは、日本に住む人々の特徴や性格を知りたい。外国人への接し方とか。いろんなお店を回って、どんな食料品があるのかも見てみたい。とても面白い経験ができると思う。」

-(イヴァン)「リーザも言ってるように、僕も有名な観光スポットを訪れて、和食も試してみたい!そんな風に文化体験ができたら。」

-(ニコル)「今度(何年かぶりに)日本へ行った時は、自分のお気に入りの着物を羽織って、ぜひまた美味しい寿司や蕎麦を食べたい。」

日本への興味は尽きない四人ですが、ほかにも様々なことにチャレンジして自分の才能を試しています。クシューシャさんはデジタル絵画クラスに通いデザインを勉強中、ニコルさんはモデル教室でファッションコーディネート・ウォーキングレッスンを受け、イヴァン君は水泳を習い、リーザさんは音楽学校で歌とピアノの練習をしています。

見つけてきた氷柱の剣を手に得意顔のリーザさん(提供写真)
イヴァン君は乗り物の模型づくりも得意

みんな今日もポジティブに自分探しの旅を続けています。一度しかない子ども時代を思いっきり子供らしく明るく生きる彼らの元気な声をお届けしました。この純粋な心を持ったまま魅力的な大人へと立派に成長していく四人の将来が今から楽しみです。

インタビュー後に雪まみれになって遊ぶ仲良しのニコルさん(写真奥)とリーザさん(写真手前)(提供写真)
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