【2019年8月】ミンスクの一日

 こんにちは!ミンスクから今回お届けするのは、チェルノブイリ原発事故を実際には体験していない若い世代へのインタビューです。協力してくれたのは、ベラルーシ国立大学ジャーナリズム学科三回生で現地の国営ラジオ局で研修中のカリーナ・メレシコさんです。彼女にチェルノブイリ事故について知っていること、知らされてきたこと、そして今の心境を語ってもらいました。

 「私は1999年生まれでビテプスク出身ですが、86年にチェルノブイリで起きた原発事故については物心ついた時から知っていました。チェルノブイリ事故についてどこで誰から初めて聞いたのかは明確に思い出せませんが、子どもの時に祖母がよく話していたのは覚えています。彼女は学校で話されるよりも多くのことを語ってくれました。

私はベラルーシの中でも放射能の汚染被害が少なかったとされるビテプスク生まれなので、チェルノブイリ原発事故について深く考えることはあまりありませんでした。ただ、地元の小学校でもチェルノブイリ事故が起きた日のことは教えられてきたし、歴史の教科書にもその悲劇のことはつづられています。学校に通う小さな子供達には【チェルノブイリを振り返る時間】も設けられています。

そして、現在の私達が自国で起きている放射能問題にあらためて注意を向けるようになるきっかけが、アメリカの最新テレビシリーズ《Chernobyil》(2019)の放送です。最初の2話(全5話)を見ましたが、リアリティあふれる内容で事故の日のことが描かれています。事故発生後、最初の夜中に住民が体験した様子の描写からは、その恐ろしさが深々と伝わってきます。私達の国でもこのシリーズは子供から大人まで幅広い年齢層に多く見られる話題作となりました。」

自身の幼年時代から二十歳現在までのチェルノブイリ原発事故に対する受け止め方とその変化、今なおも残る放射能汚染への複雑な思いも語ってくれたカリーナさん。現在、研修生として所属するラジオ放送局の番組テーマにチェルノブイリ事故を取り上げるなど、母国の放射能問題に真剣に向き合うジャーナリストとして成長しました。

このように様々なかたちで彼女たち若い世代には、あの悲劇を二度と繰り返してはいけないという教訓は伝わっていきます。なかなか消えない放射能とその恐怖心ですが、必要な情報を交換しながら協力して解決に向かっていく近代の若者の姿勢にベラルーシの明るい未来が見えます。

(田中 仁)