2023年3月②ミンスク編

 今回、ミンスクからお届けするテーマは”外食”です(家庭でつくる郷土料理については通信No.127のコラム春だよりをご参照ください)。

 こちらの食生活では、朝・夕食は各家庭で、昼食は職場や大学内にある食堂でとる(学校では給食が出るところも)ことが一般的です。町にはいろいろなレストランやカフェがありますが、外食には家族そろってよりも職場の仲間・友達同士で行くことのほうが頻繁なようです。

 子供や若者達の間ではやはりファストフードが人気で、各ショッピングモール最上階にあるフードコートではフライドポテト、ハンバーガー、ホットドッグ、ピザ、”シャワルマ”(肉と野菜にソースをかけて包んだロールサンド)がよく注文されます。おいしいクロワッサンで有名な[ТЬЕРРИ(ティエリー)]チェーン店も好まれています。

①現地(以前食べに行ったスシ店)で出されるスシのオリジナル・バリエーションは豊富
②ショッピングモール内フードコートのメニュー ピザとシャワルマ
③ショッピングモール内にあるクロワッサンがおいしい[ТЬЕРРИ(ティエリー)]チェーン店

また、食後のデザートにはアイスクリームが変わらない人気を誇り(一年を通して、冬の寒い時季でも愛されていて)、飲み物には”タピオカ”ティーがこちらのティーンエイジャー達の間でもブームとなっています。仲のいい友達と思いっきりはしゃぐ交流の場となっており、食事よりもおしゃべりや冗談、おどけて歌ったり踊ったりじゃれあったりするのに夢中になっています。高カロリーのものばかりになりますが、それ以上に笑ってエネルギー消費するので、基礎代謝が上がるのではないでしょうか。ただ、子どもの食と健康を心配して、できるだけ家でバランスのとれた食事をしてほしいという親御さん達がほとんどで、これは世界共通の傾向と言えます。

①アイスクリームは一年中愛されています
②流行の「タピオカ」ミルクティー
③ショッピングモール内設置の自動販売機には日本のドリンクも

 色々な料理が楽しめるミンスクの様々な飲食店の中から、次の5つのカフェ・レストランを見てみましょう。

 ① 自分が通う大学ジャーナリズム学部の近くにあるショッピングセンター<カローナ>の食料品売場内に、セルフサービス型の簡易カフェが現れました。値段がとてもリーズナブルなうえに清潔感が保たれています。チョイスした飲食物を使い捨ての紙コップ・皿に入れてくれ、ビニールで個別包装されたプラスチック製のスプーン・フォークか新品の割り箸をとり、お会計してもらいます。家庭で出されるようメニューが並び、多種類のサラダとスープ、マッシュポテトや蕎麦の実のお粥といった付け合わせに、カツレツや揚げ魚のメインなどバラエティー豊富です。昼休みや買い物ついでに個人(ひとり)でも気軽に立ち寄れる飲食店となっています。

①[カローナ]ショッピングセンター食料品売場内カフェのメニュー
②[カローナ]ショッピングセンター食料品売場内カフェの料理

 ② 教会にあるカフェ<“ボージヤ カローフカ”(てんとう虫)>(直訳では店のロゴマークにもなっている”神の牛”)では、家庭の味に加えて色とりどりの手作りケーキが楽しめます。教会にお祈りに来る人達が立ち寄りやすい場所で、普段から家族連れ・幼い子供連れが目立ちます。今の時期は肉・乳製品・アルコール等に関して食事制限がある四旬斎にあたり(今年は2月下旬から4月中旬の復活祭までの間)、ここでも期間限定でそれらの食品を使わないヘルシーなメニューとなっています。それでもおいしく味付けされたスープや野菜ライスとスイーツで満腹感を得られます。

教会のカフェ[ボージヤ カローフカ]①店内 ②カウンター
ボージヤ カローフカ]①四旬斎期間メニュー コーン入り野菜ライス ②デザート 新作ケーキ ③メニュー ボルシチスープ黒パン添えとチョコレート風ブリヌイクレープ

 ③老舗のベラルーシ料理店<ヴァシリキ>は誰とでも気軽に食事に行きやすいところです。それほど高くない値段で現地の郷土料理を味わえ、会話にも花が咲きます。家族連れ・友人同士やカップル・仕事の仲間内まで幅広く楽しめます。主食のジャガイモを使用した料理(特にパンケーキの”ドラニキ”)やコクのあるスープ類、豚肉をサワークリームで煮た”マチャンカ”など体が芯から温まる食べ物が数多くあります。

①[ヴァシリキ]レストラン
②[ヴァシリキ]レストランの料理 写真右は[マチャンカ]と[ドラニキ]のセット

 ④ ちょっとしたお祝い事などの時やお祭り気分で食べに行きたくなるのが、根強いブームが続く和食レストランです。なかでも大人気の”スシ”ですが、和の”寿司”とは違ったオリジナリティに溢れています。”握り”より”巻き”スシのほうが多いイメージで、海苔だけでなく魚の身などですし飯を巻いたものがあり、中身もチーズ入りなど多種です。こういったバラエティ豊かなスシは専門のレストランだけでなく、ショッピングセンター内のセルフサービス・カフェや食料品売り場などでも出され、広く普及しています。

 そんな中、スシ以外の日本料理が本格的に楽しめる新たな食事処<サカグチ>が注目を集めています。市内で最も大きな商業施設のひとつ<ダナ モール>のすぐ近くにオープンしたこのレストランでは、おにぎり、ラーメン、天ぷら、唐揚げ、餃子、たこ焼などバリエーション豊かな日本料理を提供してくれます。席はカウンターとテーブル、座敷(フローリング)に分かれており、内装も和風に美しく施された空間です。私たち(日本人)にとってはどこか懐かしくも新鮮な、現地の訪問客にとっては本物の和(主に和食)の文化と触れ合える魅力あふれる空間となっています。

和食レストラン[サカグチ] ①入り口 ②店内 ③内装
和食レストラン[サカグチ] ①おにぎり ②ラーメンと唐揚げ ③餃子

 ⑤ 町の中心に位置するイタリア料理の<Da Claudio>店はとても落ち着いた雰囲気の上品なレストランで日本人好みかもしれません。イタリア料理ならではのパスタの他に、普段なかなか口にできないウサギ肉の料理(食感は鶏肉のような)などを試せて、ドリンク類も豊富です。ほどよく静かな空間で、食事をじっくり味わいながら大切な話ができるような場として最適です。

イタリアンレストラン[Da Claudio] ①入り口 ②店内
③メニュー シーフードパスタ(写真左)とウサギ肉料理(写真右) ④デザートメニュー

 このように、ミンスクにおける外食の楽しみかたは多種多様です。思い返すと、CMN訪ベラメンバーと現地のパートナー達との間で仕事をする上でも、様々な世代の友人達との付き合いの中でも、食をともにすることで人と人とのつながりが広まり、交流がさらに深まっていきました。一緒に心のそこから笑って食事をできる相手が見つかった時の幸福感は、何ものにも変え難い喜びです。その大切さは、真っ直ぐお互いに向き合うこちらの人々の姿勢に現れています。

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