2018年5月27日(日)、毎年恒例のロシア正教の祝祭日《聖霊降臨祭》がミンスクでも迎えられました。正教の最も大きなお祭りといえば1月7日のクリスマスとグレゴリオ暦4月4日から5月9日までのいずれかの日曜日に祝われる(今年は4月8日)復活大祭がありますが、それに次ぐ大きな祝祭日で、復活大祭から50日目に迎えられます。フルゼンスキ地区にあるニコライ堂(日本に正教を伝道した聖ニコライを記念して建てられた教会)ではミサの後、祝日記念フェスティバルが行われました。正午から午後8時までアマチュア・プロのコンサートや様々な催しが快晴のもと集まった多くの人を楽しませました。その日は特別に《日本書道教室》が主に10~14才の児童を対象に開かれ、自分も日本人ゲストということで招待していただきました。普段、教会付属の日曜学校でスラブ文字による習字を子供たちに教えているエレーナ・ウラジーミラヴナ先生の指導のもと午後3時に日本語習字クラスが開始しました。本格的に書道用の筆、墨、白紙が用意され、子供たちは日本の漢字に挑戦していきます。参加者は自分の好きな言葉を選んで、それを自分と一緒に漢字で書いていきます。日本の習字に興味ある児童は大変多く、長蛇の列ができた書道教室は3時間ものあいだ続きました。
この企画を発案したエレーナ先生も大盛況の日本語習字クラスにとても満足していました。『普段、わたしはスラブ文字のアルファベットの書き方を指導していますが、よく日本とスラブ、東洋と西洋の文化・書道の違いについて子供たちと議論しています。今日この特別クラスを催したのは、子供たちに日本の国民が築き上げてきた文化に触れてほしかったからです。世界には多種多様な異文化が存在しますが、その様々な情報を書面で伝えていくことも大事ですから。ベラルーシの子供たちもとても今日の書道教室を気に入って、日本の漢字を書くのに夢中になっていました。こういった取り組みは双方の国民の和をひとつにする貴重な機会でもあります。ですから、日本人であるあなたに参加していただいたことはすごく意義があります。ありがとうございます。これからもこういう機会をどんどんつくっていきたいと思います!』。
参加者の一人で日曜学校のスラブ文字書道教室に通うセラフィマ・クリィロヴァちゃん(11歳)は次のような感想を述べました。『教会付属の日曜学校に通うようになったきっかけは、私の中に強い信仰心があったからです。今ではそこで書道を習うことが大好きで、わたしの生活のなかで欠かせない趣味となっています。教室ではスラブ文字筆記はもちろん、日本の絵画を描くことも試したり楽しい取り組みが盛りだくさんです。毎回、必ず新しい発見があることが書道の大きな魅力です。今日の特別クラスにもいまから参加することがとても楽しみです。でも以前、《幸》、《成功》、《人》という日本の漢字を書くことに挑戦したことがあります。日曜学校にゲストで来たあなたの指導のもとで。覚えてていますか?最も面白いのは日本人が実際に漢字を書く様子を見ながら、自分も真似て試してみる瞬間です!』。
実際は、3年前に習字を教えた子の精神的にも成長した姿にすぐには気づきませんでした。エレーナ先生やセラフィマちゃん、この日の書道教室で私達の文化に触れた子供たちが、日本に親近感を持ってくれていることは嬉しい限りです。 (田中 仁)