2022年11月

こんにちは。秋に戻ってきたミンスクからのレポートです。東京からワルシャワ(ポーランド)経由でヴィリニュス(リトアニア)まで飛び、そこからバスに乗りかえて陸路で現地入りしました。久しぶりのまちの様子を、自身の新生活とともにお伝えします。

秋期のミンスクでは天候が変わりやすく、今年は9月が例年より寒めで10月は比較的あたたかい日々が続きました。11月中旬になると初雪が降り積もり、家族連れや子供達が雪玉をつくったりソリ滑りで遊んでいる姿がよく見受けられます。寒波到来に震えるのではなく、美しい白銀の世界に心を踊らせている様子でした。

初雪が降り始めたまちでは新年のお祝いにむけてクリスマスツリーが飾られるように(近所の公園にて)

そんな中、CMN訪ベラのメンバーとも面識がある懐かしい顔ぶれと再会しました。よく町案内や観光取材を手伝ってくれていたチホン君(通信No.113派遣報告②、コラム11月だより参照)は見違えるほど立派に成長していました。190センチを越える体格で端正な顔立ちの青年になり、技術系カレッジの卒業を間近に控えるなか研修で頑張っています。前回の訪ベラ時に資料調査へご協力いただいた国立大学の図書司書の皆さん(通信No.117訪問レポート②参照)にもお会いしました。あの時のサポートをあらためて感謝すると、笑顔で「ぜひ、またお越しください!」と伝言を頼まれました。

(左)夏前に会った時の成長したチホン君と妹アンゲリーナちゃん(写真右側の二人)
(右上)訪ベラ時に寄った図書室のお二人も、あの時のことをよく覚えています
(右下)訪ベラ時の資料調査をさせてもらった図書館の司書の方々

私はその図書室があるジャーナリズム学部へ学位取得を目指して今も通っています。大学院課程は修了試験をパスしており、論文が認められるのを待つのみとなっています。そのため時間に余裕ができたので、いろいろと新しいことにチャレンジしています。

先ずは、アパートを借りての一人暮らしを始めました。専用サイトで検索した部屋をいくつか見せてもらい(家主と不動産業者の立ち会いのもと)、2Kのアパートに決めました。大型商業施設も隣接する地下鉄<カーメンナヤ・ゴールカ>駅近くの物件です。最初、家主さんに1ヶ月分の家賃約4万円と不動産会社の方にはその⅓ほどの手数料を支払い、一緒に住宅登録センターへ行き手続きをして契約完了です。大家さんは明るく優しいおばあさんで、家賃を少しまけてもらい、掃除も定期的にサービスでしてくれます。こちらの平均的な賃料で日本にもあるような額ですが、光熱費は月3千円ぐらいに抑えられます。物件を購入する場合は日本と比べてもだいぶ安いので、多くの人が自分の家を持ちたいと思っています。

便利な住まいが見つかると、そこの地区にある正教会で日本文化を広める活動に携わる機会に恵まれました。この度、長くお世話になっている日本ニコライ堂inミンスク(通信No.126コラム参照)直属のジャパン・クラブの文化活動を任されることになりました。教会の敷地にある日曜学校建物内の一角は日本の文化を伝える展示品や書籍が並ぶコーナーとなっており、そこで定期的に言語を教えながらイベントを企画・開催していきます。どれも初めてのことばかりですが、力になってくれる教会の方々や語学クラスへ通う元気いっぱいの子供達に支えられながら、とても新鮮な気持ちで取り組めています。

日本ニコライ堂inミンスク(写真奥)直属のジャパン・クラブがある日曜学校の建物(写真手前)

10月からスタートした語学クラスで学ぶのは12~14歳の年齢層が多く、アニメ好きや訪日希望者、何か新しい発見を求めて来る子など、動機や目的は様々です。日本語は教えるのも学ぶのも想像以上に難しく、授業の後半は集中力も切れてその場にある日本のオモチャ(折り紙、独楽、百人一首の坊主めくり等)を使って楽しみます。みんなで幼稚園児のようにはしゃぎ回って遊んだかと思えば、お互いの学校生活について夢中になってディスカッションをすることもあります。例えば、こちらの子供達が授業中に手を挙げて答える時のしぐさとウルトラマンのスペシウム光線の構えがそっくりなのを面白おかしく真似ることもあれば、彼らの教育環境について詳しく話をする機会もあります。現地では所属する学年・学校によって一部(午前制)と二部(午後制)に通う生徒に分かれており、宿題やテストもしっかりこなして10段階評価の最低でも3以上を取れるように頑張らないといけません(2以下だと留年してしまうことがあるからです)。さらに、学校以外でも積極的に習い事に行くなどして、できるだけ空き時間がないよう努める子が多いようです。退屈で憂鬱にならないようにするためだとか。このように、子供達の声をじかにきける有意義な時間ともなっています。

(左上・右上)語学クラス授業風景
(左下)語学クラスの教え子達と
(右下)語学クラスでも手を挙げて答える時のポーズが
ウルトラマンのスペシウム光線の構えにそっくり

11月に入ると、このジャパン・クラブ主催で日本文化祭が行われました。記念すべき第一回目は秋田犬の紹介イベントでした。前に取材でお世話になったAkitainu専門トレーナーのタチアナさん(通信No.125コラム参照)に協力してもらい、実際に連れて来てくれた赤毛の秋田犬2頭(女の子の成犬と仔犬)との出演が実現しました。日本を代表する犬と直接ふれ合える文化交流会開催は初めてのことだったのではないでしょうか。会場となった日曜学校の室内は大勢の参加者で一杯になり、主役の秋田犬に熱い視線が集まりました。子供が圧倒的に多く、レクチャーをききながらも、待機してる犬達に次々と近づき撫でていきます。全てのプログラムが終了しても興奮さめやらず、魅力的な秋田犬となかなかお別れができません。満場一致で「あの子がいちばん立派だった!」と終始おとなしく撫でられ続けていた4ヶ月の仔犬にMVP・敢闘賞として特別なご褒美をあげたいぐらいでした。日本の秋田犬とベラルーシの子供達。まわりにいるみんなを自然と笑顔に、そして幸せな気持ちにするような、どこか共通した不思議な力を持っています。そんな彼らの純粋な心に魅せられた催しとなりました。

(左)秋田犬紹介イベントでレクチャーするタチアナさん
(中)秋田犬は大人気
(右)催しのプログラムが終了しても子供達と秋田犬の交流は続きます
秋田犬イベントにて(教会側からの提供写真)

こういった素晴らしい時間を共有できるすばらしい仲間ができたことに胸がいっぱいです。たくさんの元気をもらいながら、その時そのときを大切にミンスクの”今”を歩んでいます。

PAGE TOP