チェルノブイリと水俣をつなげるシンポジウム
私たちにできること 〜チェルノブイリと水俣から学ぶ未来づくり〜
報告/小山 浩一(チェルノブイリ支援運動・九州運営委員)
昨年はチェルノブイリ原子力発電所事故から20年目の年でした。年月とともに人々の記憶から遠ざかっていきつつあるチェルノブイリ。しかし被害が今なお増加していることはこの目でも確かめてきました。記念の年に支援運動・九州として何かやれないかと準備を進め、12月3日、福岡市の朝日ビルでイベントを開くことができました。
昨年はちょうど、水俣病公式確認から50年にあたる年でもありました。ベラルーシへの支援活動から多くを学びながら、前任校日田市中津江村の中津江小学校の六年生7名を修学旅行で連れていった、水俣市にある胎児性水俣病患者のみなさんが働く作業所「ほっとはうす」との交流も進めてきました。これからの時代を生きていくために、私たちがこの二つの歴史的な事件から学ぶべきテーマを実行委員会では「いのち」と「豊かさ」ととらえ会を進めました。
支援運動・九州運営委委員の寺嶋悠さんによるベラルーシの現状報告と支援運動・九州の活動報告は、まさに豊かな経験に裏付けられた的確な内容でした。水俣「ほっとはうす」からは胎児性の患者さんたちも含め10名が参加してくれましたが、代表の加藤たけ子さんから患者さんたちの置かれた状況と一人ひとりの思いが伝えられました。
(株)ウィンドファーム社長で環境運動家の中村隆市さんを交え、寺嶋さん、加藤さん、支援運動・九州代表の矢野さんによるシンポジウムでは、それぞれがベラルーシや水俣などとの関わりの中から育んできた思いが語られました。お金には代えられない真の「豊かさ」とは、そしてだれもが「いのちかがやく」世界をいかに築くかを考え、さらに次の世代に思いをつないでいくことの大切さを語る貴重な機会となりました。
最後に、屋久島からかけつけてくれたオーストラリア在住の環境活動家で歌手のアンニャ・ライトさんが娘のパチャさんと、「自分にできることをする」というハチドリ・クリキンディの物語を朗読し、彼女の歌を2曲演奏してくれました。「いのち」のテーマを伝える歌を会場のみんなも共に歌いました。
この会で語られたことをもとにしながら、これからの支援活動のあり方をさぐっていきたいと思います。参加して下さったみなさん、そして会場提供等、いろいろお世話をいただいた朝日新聞労組のみなさんには、この場を借りて厚くお礼を申し上げます。
|