ベラルーシでの甲状腺ガン検診に参加した医学生からの報告 医療に国境はなく世界中の人を救える
報告/瀧音 美那子(日本医科大学5年生)
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ベラルーシでの検診に参加した瀧音さん |
今回チェルノブイリ医療支援ネットワークが行っているベラルーシにおける検診活動に参加させていただきました。日本医科大学の清水教授がライフワークとして毎年この活動に参加なさっていることは知っており、甲状腺疾患における先生の最先端の技術で遠く離れたベラルーシの地で苦しむ人を救う、この活動に以前より興味を持っていました。そしてこの度、清水先生にこの活動に参加してみないかとお誘い頂き、少しでもお手伝いできればと思うとともに、海外の医療の実態を見てみたいという思い、将来あるべき医師像について何か得るものがあればと考え、参加を希望しました。
ミンスクに着いたのは夜中だったために街の雰囲気をそこまで感じることはできませんでしたが、翌朝ホテルの窓から見えた美しい景色が今も目に焼きついています。とても放射線で汚染された悲しい過去など感じさせないほどの街並みの美しさでした。
今回の旅で大いに私の想像を裏切ってくれたことに、ベラルーシの医療が思いのほか進んでいたことが挙げられます。日本の大学院のような存在のミンスク医学再教育センターは、設備、制度ともしっかりしており、ここでなら先端の医学知識、技術を学ぶのに十分だという印象を受けました。他に訪問した小児血液センターは内装もとても温かみのあるものとなっていて、病院のスタッフはこの病院で困っていることはないと話しておられ、ベラルーシ国内での医療格差が今後の課題であり、それに伴って支援の形もかわっていく必要があるのではないかと思います。
また、ブレスト州の検診では、日本医科大学病理学教室の渡會先生の細胞染色などの手伝いをしつつ、現地の医師であるアルツール先生に細胞穿刺やエコーを指導して頂き大変勉強になりました。アルツール先生はこの医療支援ネットワークの人道支援によって甲状腺の細胞穿刺の技術を身につけられたそうで、その技術を他の医師にも広めていることで活動が実りを結んでいることを実感しました。
今回の経験はいろいろなことを考える良い機会になり、様々な人と出会い視野が広がりました。ベラルーシの医師のモチベーションの高さに感銘を受け、私ももっと頑張らないといけないと痛感しました。また、放射線専門家の星先生、医師である野宗先生の海外での活動を目にし、今後私に何ができるだろうかという思いが生まれ、これは当分の課題となりそうです。
この活動は活動にかかわるすべての人の善意と熱意に支えられているのだと思い、今回私も同行して情熱に触れることができて本当に光栄でした。人を助けることができる医師はすばらしい職業であると改めて思うと共に、医療に国境はなく世界中の人を救えるのだと思いました。まだまだ当分は医学生として勉強に励む日々ですが、知識豊かな心優しい医師になれればと思います。英語ももっと勉強して、ロシア語も勉強してから、この美しい国ベラルーシをまたいつか訪問したいと思います。
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