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チェルノブイリ通信 No.71 (8)
2007年11月28日発行
行ってきました!初めてのベラルーシ
ゴメリの福祉工房「のぞみ21」スタッフを訪ねて
現地医師の成長と今後のチェルノブイリ支援の行方
ベラルーシでの検診に参加した医学生からの報告
甲状腺ガンの診断方法はほぼ完成!
いよいよ形になったこれまでの努力
医師の技術の向上と、移動検診システムの有効性
検診を受けた患者たちの声
今年で第4回目「チャリティヘアサロン・スネガビーク」  

検診を受けた患者たちの声
確かな検診システムを必要とする人たちは今もなお

患者さん
マリア・コーリーコービッチさん 57歳 女性

 コブリン(KOBRYN、ブレスト市から45キロのところにある小さな町)在住。

 10年くらい前にコブリンの診療所で検査を受け、内科の先生から甲状腺に問題があるかもしれないと言われた。その後、内分泌の専門家にも診てもらい、ブレスト市での診察を進められた。

 ブレスト市で細胞診断を受けたが、悪性/良性の判断がつかず、その後1年半くらい、ミンスク臨床悪性腫瘍センター(旧1番病院)で検査を受けた。

 最初のころはチロキシンを飲んでいたが、ミンスクでは飲まなくてもよいと言われたので、今は飲んでいない。

 息子がミンスクに住んでいるので、ミンスクで診察を受けるときは息子の家に泊まっていた。

患者さん
キーリール・コービャレッタさん 19歳 女性

 ピンスク(PINSK)在住。

 12歳のときにピンスクの小児病院で結節が見つかった。その後、ブレスト州立内分泌診療所で吸引穿刺による細胞診断を受けた。

 悪性の結果が出たので、ミンスクで再検査を受けた。ミンスクでの結果はまだ知らされていない。まだ若いので出産をする可能性もあるから手術は待ちましょうと言われている。

 ただ結節が大きくなっているので医者も心配している。

 現在は働きながら、技術大学の通信教育を受けている。

 医者からは、ヨードが入っているものを食べつつ、ビタミン剤(ヨドマリンなど)を服用するように言われている。

 お母さんと年の離れた小さな妹も一緒に来ていた。

患者さん
バルコフスキー・イワノフさん 54歳 男性

 カミネッツ(KAMIANIEC、ブレスト市から45キロ)在住。

 1週間前にブレストの移動検診チーム(アルツール医師ら)がカミネッツに来た時にはじめて検査を受けた。そこで結節が見つかったので、今回の検診を進められた。

 それ以前は特に体の異常もなく、普通に生活していた。

 家族にも甲状腺の病気を持つ人はいない。ただ誰も検査を受けたわけではないので、病気の人もいるかもしれない。

患者さん
スベトラーナさん 55歳 女性

 バラノヴィッチ(BARANABICY、ブレスト市から220キロ)在住。

 1995年からバラノヴィッチで暮らしている。それ以前は、チェルノブイリ原発事故当時もゴメリ州モズィリのナローブリャという所のサナトリウムで働いていた。事故後の5月3日に、住民のほとんどが町から避難させられ、実家のあるバラノヴィッチに避難した。

 2006年2月にブレストの移動検診チーム(アルツール医師ら)がバラーノビッチに来た時にエコー検査を受け、甲状腺に異常が見つかった。そしてブレスト州立内分泌診療所での検診に参加するように言われ、日本の医師による検査も受けた。

 3月にブレストでの細胞診断の結果、悪性と判断された。3ヵ月後、ミンスクで甲状腺の摘出手術を行った。甲状腺は全部摘出した。結果、結節は大きかったが悪性ではないことがわかった。術後はずっとチロキシンを服用している。術後はずっとチロキシンを服用している。そのためか、血圧の変動が激しくなった。頭がすっきりしない。甲状腺の摘出手術前は、高血圧ではあったが、それほど変動はなかった。

患者さん
グリシュキーリッチ・オリガさん 33歳 女性

 プロジャーニ(ブレスト市から80キロ)在住。

 妊娠中の2004年、甲状腺に腫瘍が見つかり、ブレストで細胞診断を受けた。そこで悪性と判断されたため、2005年5月にミンスクで右甲状腺の摘出手術を受けた。

 現在は半年に一度、定期的な検査(エコー検査、血液・ホルモンのチェック)を受けている。

 出産は地元の病院で行った。以前、子どもはカルシウム不足のため骨に問題があったが、今は元気。彼女自身は現在、血圧がちょっと低めで、脱毛も少し見られるが、甲状腺と関係があるかどうかはわからない。

 ミンスクでは医者からホルモンが足りないとは言われている。術後はチロキシン(ホルモン剤)をずっと摂取している。

患者さん
ボイコ・リュボーヴィさん 45歳 女性

 ピンスク(PINSK)在住。

 2005年にピンスクであったエコー検査で、甲状腺に異常が発見された。

 その後、ブレスト州立内分泌診療所で細胞診断を受けた。悪性の結果が出たので、2005年にミンスクで手術を受け、甲状腺を半分摘出した。

 術後、チロキシンを飲むように言われ、しばらく服用していたが、心臓と目にトラブルが起きた。視力は特に下がっていない。

 ミンスク医者からは、心臓が痛むようであっても、チロキシンを少しは摂取するようにと言われたが、現在は自分の意志でチロキシンの摂取を控えている。もう4ヶ月くらいになるが、心臓の痛みはなくなった。

 ゴメリにあるチェルノブイリ関係の病院にも検査に行った。そこでは、カルシウム不足と言われた。原因はわからないが、体がカルシウムを受け付けない。甲状腺の摘出手術の以前は、心臓も目も特に問題はなかった。

 ブレスト州立内分泌診療所に登録しているので、今回の検診に呼ばれた。ピンスクから列車で往復20,000ベラルーシルーブル必要。

 現在は、地元の牛乳加工工場に勤めている。甲状腺を半分摘出したが、国からの補助は特にない。

患者さん
ニーナ・ホットさん 50歳 女性

 イバノバ(IVANAVA)在住。現在は年金生活。

 腎臓の手術を受けた時に快復があまり見られなかったので、別に原因があるのではないかと言われ、地元の病院で甲状腺のエコー検査を受けて結節が見つかった。

 1ヶ月くらい前、ブレスト州立内分泌診療所で細胞診断を受けた。今回が2度目の細胞診断。血液検査や今回の診断結果を持ってミンスクに行く予定。

 手術をしたことはないが、必要だと言われている。結節が1つあり、とても大きい。時々のどのあたりに重さを感じる。

アリョーシャとの再会

アリョーシャ
野宗医師より、エコー診断を受けるアリョーシャ

 通信69号でご紹介したアリョーシャ・スベヤトーシクさん(ピンスク在住。21歳。チェルノブイリ原発事故で胎内被曝)が、ブレスト州立内分泌診療所を訪れました。彼女は2月に来日し、日本医科大学の清水医師によって、内視鏡による甲状腺摘出手術を受けました。

 今回、手術後初めての検査に診療所を訪れました。野宗医師によるエコー診察の結果、異常は全くないことがわかりました。手術後の傷あとは左右1箇所ずつで、各3〜4cm。従来の首全体に残る傷跡とは大変な違いです。

 現在服用しているエウトラクスというホルモン剤は、1箱で3ヶ月分であり、12,000ベラルーシルーブル(およそ600円)です。50%は国の補助で残りは自費だそうです。

 特に体の調子が悪いなどはなく、普段の仕事にも影響はないとのことで、元気そうでした。

 チェルノブイリ通信69号を手渡すと、掲載された写真をみて、にっこりとはにかんでいました。

 
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