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チェルノブイリ通信 No.51 (3)
2001年12月20日発行
ベラルーシでの甲状腺検診の今
武市医師との対話から
・イラストで辿る、工房「のぞみ21」との出会い
・走れ雪だるま号 大友慶次さんからの報告
ベラルーシからの手紙‥‥力丸邦子さんの文通

パレーシェ文化の現状調査と人材育成支援
「カリヨン基金(日本パレーシェ文化財団)」からの報告

大友慶次さん

チェルノブイリ支援運動・九州による検診だけでなく、日本のチェルノブイリ支援 団体が現地で活動する際にも貴重な移動手段として利用されている「雪だるま号」。その「雪だるま号」の働きを通して、様々な団体の活動をお伝えするのがこのシリーズ。今回は「カリヨン基金(日本パレーシェ文化財団)」の大友慶次さんからの報告を紹介する。

受け継がれる文化
 今回のベラルーシ訪問の目的は、ボクの関わる「カリヨン基金(日本パレーシェ文化財団)」の事業の連絡、調査活動でした。パレーシェ文化の研究者の訪問、教育機関でのパレーシェ文化のカリキュラム、パレーシェ文化の研究活動の現状調査、パレーシェ文化ゾーンに居住なさる学生への奨学支援です。
 民俗芸能が専門で舞踏家のニコライ・ガゼンコさん、パレーシェ文化ゾーンの文化財を自ら現地で集めて博物館をつくられたシマトフさん、文化大学の民俗文化研究所主任教授と対談し、施設を訪問するのに十分な時間を持てました。今、シマトフ、ガゼンコさんもその中心になって、全6巻の「ベラルーシ民俗文化百科全集」が著作編集されています。民話、説話、音楽、楽器、宗教、踊り、家屋、建築、農業・漁業、それぞれの用具、等々の項建てで、集大成されることになっていました。何時完成するかわからないが、今やっておかなければわれわれベラルーシ人のルーツを喪うことになる、民族の願望が為す仕事であると異口同音に聞かされました。
 ベラルーシ・ウクライナの国境沿いに流れるプリピャチ河。その南北400キロ、東西500キロに広がる河と沼と森林と耕作地の湖沼地帯がパレーシェ地方とよばれ、独自の文化を持つ人々の暮らすところなのです。その貴重な文化をもつ方々の暮らすところが、放射能で汚染され、人々は移住を余儀なくされたのです。プリピャチ河とドニエプル河の合流点、ウクライナ・ロシア・ベラルーシの国境がクロスするところに、港湾都市チェルノブイリがあります。この町からさらに20キロの所に原発が建てられ、事故後は、30キロゾーン内の強制立ち退き地域となりました。町は無人となり、今は事故処理の会社の人と、サマショーロと言われる、立ち退きに従わず住み続ける人々がいるだけの、寂しいところとなりました。
 文化は、人々の暮らしとともに学習・継承されていくものです。人々の不在と共に、消滅していくものです。今やらなければ、人類は永久に作り出すことのない文化の、記録保存、学習研究のために、生活の困難の中で取り組む方々に、敬意をささげたのでした。

パレーシェ民族品とシマトフ研究員 教育大学の学生たちとお茶会
博物館にて。
パレーシェ民族品とシマトフ研究員
教育大学の学生たちとお茶会

「生きる」のリューダさんを訪問
 「わたしたちの涙で雪だるまが溶けた」(チェルノブイリ支援運動・九州監修、梓書院1995年)の中の「生きる」を書かれ、日本に招待されたリューダさんは、このパレーシェ地方に住んでいます。大学予備校への進学から、「カリヨン基金」は奨学金を支給し、彼女の勉強を支えています。グリュシコビッチ村のリューダさんの担当だったタチアナ先生は、田舎の子どもでも優秀な子がいるけど、経済的な理由で進学できずにいる、医療物資の援助も必要だが人材育成の支援も必要です、と二度目の招待でリューダさんと共に来日された時に語って下さいました。
 通訳の小川さんは、今回の出会いの中で「リューダは奨学金が最も有効に活用されている事例だと思います。成績はトップで、アルバイトもしながら妹たちの面倒も見ています。いつもわたしに報告してくれます。お母さんが入院したので、家に帰って手伝いをしており、英語の学習が遅れて悔しがっていましたが、今学期は頑張っています。今、医学方面に向かおうかとの意欲もだしているようです…」と報告して下さいました。
 29日午後、教育大学の学生寮に行き、同室の4人とのお茶会を持ちました。5階建てのアパートで、1つの階に20部屋、トイレが1ヶ所、男女の混住、自炊。お部屋は、横3×奥行き5メートルに、45×170センチのベッドが4つ置かれています。入り口の左右に小さなロッカーがあり、ここに私物が収納されていました。天井に蛍光灯一本、机はなくて、ベッドの上に座り膝に板を抱いて勉強するのだと、それを実演してくれました。韓国製の即席ラーメンでつい済ませてしまうと言うので、小川さんから怒られていました。横に歩いて奥のベッドに行きカメラを据えて記念写真を撮ったのですが、なんだか切なくなって、なみだがこぼれるのでした。

リューダ・チュプチクさん リューダ・チュプチクさん

雪だるま号の利用をご希望の方は・・・
ベラルーシでチェルノブイリ支援活動を行う際、国内の移動手段として雪だるま号の使用を希望される方は、チェルノブイリ支援運動・九州の事務局までご連絡ください。現地での使用目的、スケジュール等を申込用紙にご記入いただき、それをもとにミンスク赤十字に雪だるま号の使用を依頼します。

雪だるま号と大友さん、運転手のジーマさん
  雪だるま号と大友さん、運転手のジーマさん
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